Vol.27 ソミュール トリプル セック

コンビエ社(フランス)



パティシエ入魂のリキュール

フランスはロワール地方ソミュール。およそ2世紀をさかのぼるトリプルセックの歴史は、ソミュールの街で始まりました。
1832年、ヤン・バプティスト・コンビエによって創業され、息子のジェームスによって伝統を受け継がれたコンビエ社は、当初パティスリーとして開業しました。自らの菓子作りに最適な洋酒を探し求めて、ついに自らの手で1834年にトリプルセックを造り上げました。まさに菓子職人の魂がこもった渾身のリキュールといえるでしょう。トリプルセック誕生の地ソミュールの名をブランドとして発祥したのも、この製品への思いを物語ります。
世界でも珍しいパティシエを起源とする、コンビエ家のトリプルセックの歴史はこうして始まりました。新鮮な果実を育む豊かな水と気候に恵まれたロワール渓谷で、19世紀初頭のこだわりをそのままに、拡大主義を好まず、今も伝統の製法を堅持し続けています。

伝承の歴史、名城と名馬の由来

ソミュールの街の名は、14世紀の築城になる名城ソミュール城と共に、名馬・軍馬の名産地として有名です。ナポレオンの勝利は、すべてソミュール産の強くて早い軍馬があってこそ、フランスに大勝利をもたらしました。
有名なコアントロー社が創業1849年、トリプルセック製造開始が1875年という記録があります。従って、1834年誕生のコンビエ家のトリプルセックがコアントローより41年古い歴史を持つことも、ソミュールの大いなる誇りです。
21世紀を迎え3世紀を経た現代においても、レシピはもちろんのこと、そのテイストも1834年当初とまったく変わることなく、律儀に伝承されています。
19世紀初頭パティシエ入魂のトリプルセックが、こだわりの伝承により名酒の称号が受け継がれ、メッツ・インターナショナル・コンペティションにて金賞の栄誉に輝いたことは、この製品にとって感動の受賞であり、フランスの歴史と共に継承された努力と優れた証と称えられました。

頑固に守られる伝統への評価

次に、伝統的な製法を頑固に守ることによって、他のトリプルセックには見られない、ソミュールトリプルセックの特徴を披露します。単なるオレンジの風味だけの迫求ではなく、気品ある優雅な香りを醸し出す理由はこだわりの製法にあり、ハイチ産のビターオレンジピールの内側にある白い綿状の繊維を丁寧に取り除くのも、ソミュールだけの根気のいる作業です。更に、長時間の浸漬をすることで、その高貴な香りを醸し出します。蒸留についても、多くのトリプルセックはすべて1~2回の蒸留ですが、ソミュールトリプルセックのこだわりは、他に類のない3回の蒸留にあります。また、非効率な150年以上も使われている伝統の銅製のオリジナル古式ポットスチルで、今も蒸留を行います。
その酒造りにおける頑固なまでの製法は、職人の魂が込められたリキュールとなり、優雅な香り高い気品は、誰をも魅了してやみません。
深い甘さと、キレの良さをも持ち合わせているソミュール トリプルセックは、秘伝のハーブの香りと共に、ロックでもストレートでも、カクテルにしても、フランスの多くのトリプルセック愛飲家の認めるところです。
妥協なき魂の歴史と伝承に培われた、貴重なこのソミュール トリプルセックを、最古の歴史と共に、日本のパティシエの皆様に数種の容量にて、ご紹介出来ることになりました。

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